こころ、ふわり



とりあえず腹ごしらえということで、近くにあった和食屋さんに入った私と先生は、それぞれトンカツ定食と豚の生姜焼き定食を注文した。


トンカツを注文したのは私。
部活を引退してからも、食欲は旺盛なままだった。


向かい合って座ったものの、目の前に先生がいると思うとドキドキしてしまって視線が泳いだ。


「こうして食事をするのは久しぶりだね」


私と同じことを思っていたようで、先生のその言葉にうなずいた。


「今日は先生同士で飲み会とか無いんですか?」


「あぁ、小宮先生に飲みに行こうって誘われたけど断ったよ」


「小宮先生?」


そういえば、卒業式の式典中に芦屋先生と小宮先生が何か話していたなと思い出した。
あの時にでも誘われたのだろうか。


「ずっと前から、卒業式の日は君に会いに行こうと決めてたから」


優しく微笑んだ芦屋先生の言った言葉が、とても嬉しくて、そして同時に期待が高まる。


先生も同じ気持ちでいてくれてる?
期待してもいいんだよね?


胸の鼓動がさっきよりも強くなっていくのが分かった。