こころ、ふわり



その後、帰宅した私はすぐに制服を脱いで、クローゼットを開いた。


先生に会うときはいつも実年齢より上に見られたくて、背伸びしたくて、少し大人っぽい服を選ぶようにしていたけれど、そういうのはもうやめよう。


自分が今着たいと思う服にしよう、と深緑のトップスとデニムスカートを引っ張り出した。


ずっと開くことさえしなかった、机の一番上の引き出しを開ける。


箱に入れてしまっていた、芦屋先生からもらったゴールドのネックレスを身につけた。


コートとマフラーをベッドの上に出して、ふと思い出した。


そうだ。
もう、ニット帽もメガネもマスクもいらないんだ。


変装する必要なんて、もうないのだ。


私は携帯を握りしめて、先生からの連絡を待った。