腕時計を見て、時間を確認する。
15時半。


そういえばこのあと、両親と外食をしてから帰る約束をしていたんだった。


ご飯を食べて帰ったら、きっと先生と会う時間が遅くなってしまう。


どうしよう、どうしよう、と思いながら私は両親が待つ駅前の喫茶店へ急いだ。










結局、私はお父さんたちに謝り倒し、外食をキャンセルしてもらった。


帰りの車の中でお母さんがブツブツと文句を言っている。


「ご、ごめんね……」


後部座席から助手席に座っているお母さんに謝ると、刺すような視線が私に向けられた。


「どうして事情を話せないの?」


突然外食をキャンセルしたいと言い出した私は、理由は話せないと説明したためにお母さんの機嫌を損ねてしまったのだ。


お父さんも聞いてくることはしないものの気になってはいるようで、チラチラとルームミラー越しに私を伺っている。


「ちゃんと事情を話してくれればこんなに怒らないのに」


腕を組んで睨んでくるお母さんの視線が痛い。