「芦屋先生」
私が名前を呼ぶと、先生はすぐに私に気づいてくれた。
「卒業おめでとう」
駆け寄るった私に、そう言った先生は
「もう帰るの?」
と聞いてきた。
「はい。両親が待ってるので」
「そう。気をつけて帰ってね」
あっさりとした先生の返事に、ちょっと心が折れそうになる。
「私、専門学校に合格しました!それだけ伝えたくて」
すると、またあっさり言葉を返されて終わると思っていたのに、先生はとても嬉しそうな顔をして
「そっか。良かった。気になってたんだ」
と笑ってくれた。
「あ、あの……先生。それと、もうひとつ……」
明日、時間をください。
伝えなくちゃと口を開く。
ところが、私の言葉は芦屋先生によって遮られた。
「吉澤さん」
肝心の話が遮られてしまったので、内心困惑しつつも「はい」と返事をした。



