こみ上げてきたのは涙。


ずっと泣いてなかったのに、泣くつもりもなかったのに、色んな感情が交差して絡み合って混乱した。


ポロポロとこぼれた。


「萩……」


隣にいたはずの若菜が、私の後ろに回って肩を抱いてくれた。


「あと少しだけ……頑張ります」


私は両手で顔をおおって、それだけ言った。


澪の両手が私の体に回されて、抱きしめられる。


あと、もう少し。
もう少しだけなら頑張れると思った。


もう絶対に頑張れないと思っていたけれど、少しだけ。


そうしたら、心から笑える時が来るのかな。


澪が言っていたことが本当なら、私に出来ることはひとつだけ。


きちんと卒業することだ。
何事もなく、無事に。


それが芦屋先生の望みなら、叶えてあげたい。


強く思った。