「万が一の時は俺がちゃんと守るから」


と、芦屋先生が私に言ってくれた言葉。


先生なりに嘘をついて守ってくれたっていうこと?


でも嘘をつかせた上に芦屋先生に不利になることばかりで申し訳なかった。


「萩〜?どこ行ったの〜?」


と、私を呼ぶお母さんの声が廊下で響いていて、慌てて教室から飛び出した。


「あ、お母さんごめん!忘れてた」


トイレに行っていたお母さんの存在を一瞬でも忘れてしまった自分が腹立たしい。


「ちょっとちょっと、自分の母親を忘れる子いるの!?」


と、お母さんは頬を膨らませてわざとらしく睨みつけてきた。


ごめんね、と謝りながらも、私の頭の中は芦屋先生でいっぱいになっていた。


先生に会いたい気持ちに鍵をかけて、夏休みをむかえた。