もう、この時の私はホッとして緊張の糸が切れたのもあってか、気づいたら泣いていた。


「よ、良かった……」


と、また心の声でつぶやいているはずが、現実でもつぶやいてしまっていた。


そんな私を見て、芦屋先生は笑っていた。


やっと先生が笑ってくれて、それだけで嬉しくなる。


その笑顔が、たまらなく愛しい。


「先生、好きです」


私はもうほとんど無意識に、何も考えずに言っていた。


少し驚いたような先生の顔が見えたけれど、かまわずに言葉を続けた。


「大好きです。他の人なんて、考えられないです。先生、私……」


暴走する私を押さえるように、芦屋先生が慌てて私の両肩を手で包んで落ち着くように促す。


「ちょっと待って。吉澤さん、それ以上は」


言いかけた先生の唇を、私は自分の唇でふさいだ。


背の高い先生に届くように、精一杯背伸びをした。