玉木先生はうちのクラスの国語を直接担当しているわけではない。


この間来たのはたまたま担当の後藤先生が休みになったから穴埋めで来ただけのこと。


だからどちらかが意識してコンタクトをとらない限りは玉木先生と私が話す機会なんて無かったし、これからもきっと無いような気がした。


というか、むしろ私は玉木先生と話すのが怖かった。


相手が微妙に勘づいているだけに、ごまかせる自信もないしそんな話術も持ち合わせていない。


来月には3年生にとっては最後の弓道の大会があるというのに、こんな精神状態で大丈夫なのだろうか。


私は団体戦のメンバーに選ばれていた。


もしもこの地区大会を優勝すれば県大会に行ける。
そうすれば引退も少し長引いて、まだ部活に参加できるのだ。


菊ちゃんの気合も十分で、去年敗けた雪辱を晴らすべく練習に取り組んでいる。


私も気合を入れなくちゃいけないはずなのに、いまいち練習に身が入らない日々を送っていた。