電車から降りて、駅を出る。


いつもの場所に菊ちゃんが立って待っているのが見えた。


私を見つけて、明るい笑顔を浮かべる。


「萩、おはよう!」


「お、おは……」


私は挨拶も出来ないまま、菊ちゃんの顔を見た瞬間に泣いた。


人目もはばからず。
声を出して。


「萩!?ど、どうしたの!?痴漢にでもあったの!?」


と、菊ちゃんのとても慌てている声が聞こえた。


ぢがんじゃない〜、と声にならない声で否定しながら、わんわん泣いた。


昨日家に帰ってもポロッと泣いたくらいだったのに。


どうして菊ちゃんの顔を見たら泣いたのか、自分でもよく分からない。


たぶん一番の理解者だと思っているからかもしれない。