芦屋先生は私が何かを言うのをやめたので、無言で私の顔色をうかがっているようだった。
少し間を置いたあと、
「俺も話したいことがある」
と言った。
同じタイミングで、さっきまで傘をささなくても平気な程だったのに、雨足が強くなり出してザーッと音がした。
先生が、私に話したいこと。
聞くのが怖かった。
「いいです。聞きたくないです」
こんなことを言えば困らせるのはじゅうぶんすぎるほど分かっているのに、言ってしまった。
「ずっと考えてた。これからの、萩とのこと」
先生は私の言葉を聞き流すように話を続ける。
「迷ってる間に1ヶ月も経ってしまって。連絡もろくに出来なくてごめんね」
「先生。聞きたくないです」
「聞いてほしい」
「嫌です」
私はプイッと体ごと窓の外に向けるようにして、先生の方を見ないようにした。
その可愛くない態度を客観的に見て、こういうところが子供っぽい原因なのだと実感する。
あんなに先生と話したかったのに、この場から逃げたくて仕方なくなっていた。



