「私の方こそ、すみません。先生が仕事忙しいの分かってたのに、メールなんか送っちゃって」
「ううん。大丈夫だよ」
きっと先生は仕事で疲れているはずなのに、それを全然感じさせないように微笑んでくれた。
そして、私がコンビニで買った缶コーヒーを差し出すと「ありがとう」と言って受け取った。
走り出す車の中で、私は先生の横顔を眺めていた。
何度となくこの横顔を見つめて、そして何度となく好きだと思っただろう。
こんなに好きなのに、大好きなのに、距離を置きたいなんて言ってもいいのだろうか。
「話したいことって?」
不意に芦屋先生に尋ねられて、私の中で即座に迷いが生じた。
距離を置きたいと言わなくてもいいかな?という甘い考えが頭をよぎる。
だって距離を置いたら、もう先生に触ってもらえないし、私だけに笑いかけてくれなくなるし、キスもしてもらえなくなるかもしれない。
「や、やっぱりいいです」
なんだか急に寂しくなって、私は言うのをやめた。



