美術の授業が終わったあと、澪は美術室に残ると言った。
「芦屋先生にお礼を言いたいの」
と言うので、私と若菜は先に行くことにした。
詳しい事情を知らない若菜にとってみれば、きっと少し戸惑うこともあると思う。
それでも澪が傷ついているのは気づいているし、だからこそ追求することもなかった。
さっきの授業で、芦屋先生は私が反論しようとしたのを止めてくれた。
本当ならば私も先生にお礼を言わなくちゃならないのに。
どうして、付き合っているのにこんなに距離を感じるのだろう。
どうして近づいたらいけないのだろう。
いつも持ち歩いている携帯をスカートのポケットから引っ張り出して、先生とちゃんと話す決意をした。



