聞いてるのか聞いていないのか分からないくらい賑やかな教室へ、澪が戻ってきたのはホームルームが終わったあとだった。
星先生が進路調査のプリントを配布している時だった。
教室のドアを開け、
「遅くなってすみませんでした」
と感情のない声で澪は星先生に謝罪し、静かに自分の席に座る。
一気に静まり返ったクラスをなんとか盛り立てようと、星先生がわざとらしく
「進路調査票は来週中に出してね〜!」
と明るく話していた。
若菜は他のクラスメイトと違って、澪のことをマイナスにとらえているわけではないようで、顔色の悪い彼女を心配して
「あの子、具合でも悪いのかなぁ。さっき嫌なことでも言われたのかもね。怒ってたもんね」
と私に言っていた。
ホームルームの前に澪に何かを言っていた女子生徒たち数人は、いまだにヒソヒソ噂話をしているようだ。
「澪はすごく優しい子なんだよ」
若菜には分かってほしくて、澪のことを誤解してほしくなくて、それだけ伝えた。
「萩はあの子と友達なんだね。私も友達になりたいな」
と、微笑んでくれた。



