こころ、ふわり



玉木先生は、私が遠目で見ても分かるくらいに顔を真っ赤にして何回も芦屋先生に頭を下げていた。


「よ、よろしくお願いします!」


「美術の芦屋聡です。よろしくお願いします」


芦屋先生はいつもと変わらない声のトーンで玉木先生に挨拶をする。


すると、星先生が玉木先生の肩に手を置いて


「人手不足で芦屋先生のクラス、副担任決まってなかったでしょ?新卒の子で申し訳ないんだけど、玉木先生を副担任にってことで校長に指示を受けたの。右も左も分からない子で大変だと思うけど、色々教えてあげてほしいのよ」


「そうですか。分かりました」


特に困ったような顔をするでもなく、喜んでいる風でもなく。
芦屋先生は涼しい顔で了解していた。


「私なんかが副担任ですみません」


玉木先生は顔を両手で覆いながら全力で謝っていて、星先生がひきつり笑いを浮かべていた。


「じゃ、芦屋先生。くれぐれもよろしくね」


そう言って星先生がポンッと玉木先生の背中を軽く押しただけなのに、玉木先生はよろけて芦屋先生の体に突っ込んでいた。


「きゃーーーっ!す、す、すみません!」


玉木先生は意味不明な悲鳴を上げて、さっきよりも顔をさらに真っ赤にして芦屋先生から離れていた。


「あの、まず落ち着きませんか?」


さすがの芦屋先生もここでようやく困惑した表情になっていた。