変な疑いをかけられても困る、と即座に言い訳をしようとしたら、先に芦屋先生が答えた。
「1組の相川さんが教室からいなくなったみたいで、吉澤さんが探していました。1組の担任って星先生ですよね?」
「あ、そういうことね」
星先生は安心したように肩をすくめて微笑んだ。
2人の会話で、私が属する1組の担任が2年生の時と同じ星先生だと知った。
「他の先生に探してもらうから。吉澤さんは教室に戻って。私もあとから行くから」
星先生にそう言われてしまい、私は「分かりました」と返事を返した。
一瞬、芦屋先生が私に何かを言いたそうに目を向けてきたけれど、それは言葉にはならなかった。
私が階段をのぼって来た道を引き返そうとした時、ふと星先生の隣にもう1人いることに気がついた。
今年から新任でやって来た国語の教師の……名前は忘れてしまったけれど、新卒の若い女性の先生。
とても綺麗で、なにより学校に慣れていない感じのする清楚な雰囲気の人だった。
黒く長い髪の毛をひとつに束ねて、緊張したように星先生の影に隠れるように立っていた。
「芦屋先生にさっき職員室で声かけようと思ったのに、さっさと行ってしまうから慌てて追いかけてきたのよ」
と星先生がふぅっとため息をつく。
「すみません。何かありましたか?」
「彼女、新卒の玉木恵先生」
星先生は自分の後ろに隠れている玉木先生
を引っ張るようにして隣に立たせ、芦屋先生に紹介した。



