こころ、ふわり



「澪が教室からいなくなっちゃって……探してました」


私がそう言うと、芦屋先生は左手首につけた腕時計で時間を確認して


「何組になったの?担任の先生に伝えておくから、教室に戻った方がいいよ」


と言った。


たぶん、先生のことだからそう言ってくると思っていた。
こうなってしまっては、従う他に無い。


「3年1組です」


「そう。伝えておくから」


「あの……先生?」


先生が出席簿を持っていることに気づいた私は、まじまじと手元を見つめてしまった。


「先生も担任を持つことになったんですね」


「あぁ、そうなんだ。1年生のクラスを受け持つことになってね。今年は去年みたいにのんびりできないなぁ」


あはは、と苦笑いする芦屋先生に、3年の美術の授業は担当するのか聞きたかった。


いや、もっとたくさん聞きたいことがあった。
話したいことがあった。


自分の口から色々な想いがとめどなく溢れそうになって、何から話そうと考えているうちに女の人が私の名前を呼んだ。


「吉澤さん」


キョロキョロと声の主を探すと、下の階から星先生がのぼってきたところだった。


私が芦屋先生と一緒にいたからか、訝しげに私たちを眺めていた。


「芦屋先生もいらしたんですね。2人で何を話してたの?」