こころ、ふわり








始業式のあと、教室へ戻ったら澪がすでに席についていた。


私は彼女に声をかけようとしたけれど、その前に他の女子生徒が澪に話しかけていた。


仕方なく、廊下側の自分の席に座る。


がやがやと騒がしい教室の中で、前の席に座るボブヘアの女の子が私に声をかけてきた。


「2年生の時は何組だったの?」


「あ、3組だよ」


急に話しかけられて内心ドキドキしながら答えると、彼女はつぶやな瞳をキラッと輝かせるようにニコッと笑った。


「私、2組だったの。服部若菜っていうんだ。よろしくね」


「私は、吉澤萩」


新しい友達が出来てホッとしたのも束の間、澪の怒鳴り声が聞こえた。


「なんでそんなことに答えなくちゃならないの!」


澪は立ち上がって自分を取り囲む女子生徒何人かを押しのけて、教室から逃げるように走って出ていってしまった。


「うわ、感じ悪〜」


と、女子生徒の1人が笑っていた。


徳山先生のことで何かを言われたのは明白だった。


若菜が少し声をひそめて私に耳打ちしてきた。


「あの子、徳山先生の彼女だよね?」


「う、うん……」


私はなんとなく曖昧にうなずいてその場をやり過ごそうとしたけれど、澪のことが気になって仕方がない。


もうすぐホームルームが始まってしまうけれど、いてもたってもいられなくて、若菜に「ちょっと行ってくる」とだけ言い残して教室を出た。