「萩、最近どう?先生とは会ってる?」


春休み中も部活は変わらずに練習がある。


休憩時間にぼんやりしている私に、菊ちゃんが話しかけてきた。


「ううん。全然会ってないよ」


「そっかぁ。なんかここんところ、元気ないからさ」


菊ちゃんは私の変化をしっかり感じ取っていてくれて、いつもこうやって声をかけてくれる。


「やっぱり徳山先生のことが原因?」


「うーん、どうかな。きっかけになったとは思うけどね」


答えながら、自分の気持ちを探す。


どこに行ったんだろう、私の気持ち。


自分自身のことなのに、どこかへ行ってしまったみたいに見つけられなくて、そして考えるほどに疲れていく。


こんな自分が嫌で仕方なかった。