交際を認めた……。


私はなんだか胸がギュッと締め付けられるような気持ちになった。


きっと澪のことを思って、彼女がせっかくの修学旅行を楽しめるようにと連れ出したであろう徳山先生のことを考える。


交際を認めてしまったら、今後どうなるのだろうか。


暗い気分のまま携帯を耳にあてていると、芦屋先生が私の名前を呼んだ。


『萩。君の名前が今回の件で出てきた』


「私の名前が?」


私は訳が分からず戸惑ってしまった。


『2日目の夜に見張りが終わってから、相川さんの様子を見に行くと星先生に言って救護室へ行ったらしいね』


芦屋先生の言葉を聞いて、私はそうだった、と思い出した。


そういえば私はあの夜、救護室に行ってくると言った澪が心配で下の階へ行ったのだ。


実際に救護室には澪はいなくて、結局すぐに自分の部屋に戻った。


その行動の何がおかしいのだろうか。


「澪は救護室にはいませんでした」


『星先生がね、君が澪を心配していたことで、彼女と仲が良かったから徳山先生とのことを詳しく知っているんじゃないかと名前を出したんだ。もしかしたら明日にでも、誰か先生に色々聞かれるかもしれない』


「そ、そんな。聞かれても……なんて答えればいいのか分からないです」


私と澪はたしかに仲が良かったけれど、誰かに話せるほどではない。


まさか星先生が私のことを持ち出すなんて思ってもみなかった。


『萩、よく聞いてね。何も知らなかった、で通すんだ。もしも2人が付き合っているのを知っていたと話したら、君もこの件に巻き込まれてしまうから』


先生が話す口調が、心なしかいつもより強い気がした。


私の身を案じているということだけは伝わってきた。