その日の授業が終わり、試験勉強のために生徒たちが次々に教室を出ていく。


普段、部活をしている生徒にとってはこの試験勉強の期間だけが長期に渡って部活を休む唯一の機会だ。


あと1週間も弓を握れないのは寂しい気もしたけれど、それよりも大事なのは定期試験の方だ。


私と菊ちゃんは揃って廊下を歩き、玄関口へ向かっていた。


「なんか昨日まで北海道にいたのが嘘みたいだよね。勉強なんてしたくないのに」


はぁ、と菊ちゃんが深いため息をつく。


「そうだね。私も実行委員で嫌ってほど関わったのに、それが無くなるとぽっかり穴が空いたみたい」


うちのクラスでは特に問題もなく旅行を終えることが出来たし、私の張り詰めていた心はやっとホッとしていたところだった。


すると、なにやら玄関のあたりに人だかりが出来ていることに気づいた。


生徒たちが騒然としていて、玄関口から校舎へ入ってすぐに設けられているコルク状の大きな掲示板。


みんなの注目はそこに集まっているらしかった。