修学旅行から帰ってきて、翌日からいつも通りに授業が始まった。


1週間後には定期試験がある。


それが終われば春休みだ。


定期試験までの間、試験勉強に集中させるためということで部活動はすべてお休みになった。


旅行の思い出を振り返る間もなく試験があるという現実。


昨日のことを思い出す。


修学旅行最終日に姿を消した徳山先生。


体調不良でみんなと帰る飛行機の時間をずらしたのかもしれない。


その日の世界史の授業。


徳山先生は来なかった。


来たのはベテランの50代の男の先生で、1年生の時に世界史を教えてくれていた先生だった。


先生はモゴモゴとなんとも聞き取りづらい声で


「徳山先生は今日はお休みなので、代わりに私が授業しますので」


と言っていた。