「せめて2人の時くらいは、ちゃんと下の名前で呼んであげたいなって思ってたから」


芦屋先生が言ってくれた言葉が私にとって本当に本当に嬉しくて。


名前を呼ばれただけなのに、こんなに嬉しいなんておかしいかな。
恋をするとみんなそうなるのだろうか。


「もう1回、呼んでもらえますか?」


「萩」


「もう1回」


何度でも呼んでほしくて、何度でも聞きたくて「もう1回」を繰り返す私に、芦屋先生が


「萩、おいで」


と優しく笑いかけてくれた。


恥ずかしさを頑張って隠して、私はそっと芦屋先生の布団に入った。


ギュッと抱きしめてもらって心臓がとんでもない速さでドキドキしたけれど、それよりも安心感が強かった。