授業が始まった。


のんびりと夏休み前に戻ったみたいに、いつもの日常が進んでゆく。


私は美術の授業をとても楽しみにしていた。


美術はもともと好きな教科だったけれど、芦屋先生の授業がどんなものになるのか想像もつかなくて、どんな顔で、どんな声で、どんな話をしてくれるのか、考えるだけでドキドキして待ち遠しかった。


夏休み前までの堀川先生がしていた美術の授業は、文字のレタリングや、平面から多面体の図形を箱にして作る方法などだった。


しかし、今回の授業に関しては、持ち物はスケッチブックと鉛筆3本と消しゴムのみでいいとのこと。


指示された通りの物を持って、私は菊ちゃんと美術室へ移動する。


美術は週に1回、午後から2限連続でおこなわれる。