「ねえ、その萩のネックレス可愛いね。どこの?」


部活を終えて更衣室で制服に着替えている時に、私の首元のネックレスに気づいた菊ちゃんに何気なく尋ねられた。


ドキッと心臓が跳ね上がった。


なるべく動揺を悟られないようにしながら、急いで返事を返す。


「駅前のお店なんだけど、名前忘れちゃった」


「そうなんだ。萩によく似合うね」


「ほ、ほんと!?」


菊ちゃんの言葉が嬉しくて、思わず笑顔がこぼれてしまった。


結局、私は菊ちゃんに芦屋先生と付き合うことになったと言えずにいた。


クリスマスの翌日から部活があったし、年末年始だって2人で初詣に行ったというのに、その時でさえ言うタイミングを逃してしまい、今に至る。


普段はほとんど見えないようにネックレスを身につけているせいもあって、菊ちゃんは着替えているこの時にやっと気づいたようだ。


ちなみに菊ちゃんは村田くんとのクリスマスで、可愛いリボンの形をしたイヤリングをもらったらしい。


いつも放課後に耳に飾ってから帰っている。


「明日からまた普通に授業始まっちゃうね」


2人で駅まで歩きながら、菊ちゃんがため息をつく。


そうなのだ。


短い冬休みはあっという間に終わり、また明日から授業が始まる。