私は目をつぶって、先生の優しいキスを受け入れる。


どうしてこんなに優しくて温かい人なんだろう、と思う。


こんな人に好きと言ってもらえた私は本当に幸せ者だ。


今日1日、私はずっと1人で空回りしていたけれど、先生が最後にそれを止めてくれたような気がした。


少しして、先生は顔を離すと


「大丈夫だった?」


と聞いてきた。


「あ、ありがとうございました……」


と思わず見当違いの返事をしてしまって、自分がさらに恥ずかしくなる。


「吉澤さんは本当に飽きない子だな」


芦屋先生の笑いを堪らえる声が聞こえたけれど、もう私も一緒に笑うしかなかった。








先生との初めてのデートは、一生忘れられないものになった。


世界で一番幸せだと言えるくらい、さっきよりも心が満たされていた。


帰宅した私が玄関で倒れそうになったので、両親が心底心配してくれているのが分かったけれど、それすらも幸せに感じてしまった。