満たされた気分でぼんやりしていたら、先生の手が伸びてきて私の頬に触れた。


一瞬、ビクッと体が震えた。


「嫌だった?」


先生がすぐに手を引っ込めようとしたので、私はその手をとっさに握る。


自分のとった行動なのに、無意識だったから信じられない思いがした。


「い、嫌じゃないです」


と言った声が上ずってしまって、恥ずかしくなって目を伏せる。


先生はゆっくりとまた頬に触れてくれた。


思い切って私は先生の胸に飛び込んだ。


もう、自分の気持ちがコントロールできなくて息苦しい。


そんな息苦しさを緩和してくれるように、先生の両腕が私の体を包んでくれた。


しばらく抱き合っていたけれど、私の方から体を離す。


暗くて分かりにくくて良かった。
きっと顔がゆでダコのように紅潮しているに違いない。


芦屋先生の瞳が私をとらえる。


瞬間、キスされるような気がして顔を背けた。