こころ、ふわり



「クリスマスプレゼント何がいい?」


不意に先生に聞かれて、予想外の質問だったので慌ててしまった。


「えっ、いいですいいです、プレゼントなんてそんな!さっきもらったじゃないですか!」


「とんぼ玉のこと?あれとはまた別に考えてくれないかな」


そう言われると困る。
何も考えてなかったし、すぐに思いつかない。


「ケーキでも食べながらゆっくり考えたら?」


芦屋先生は私を手招きして、すぐ近くにあったカフェに立ち寄ることになった。


店内はもちろんクリスマス一色で、クリスマスソングにクリスマスケーキ、クリスマス限定のドリンクまであった。


「私、どうやって食べれば……」


席に案内されてから、ハッとして自分がマスクをしていることを思い出す。


「マスク外して食べなよ」


こともなげに言ってくる先生を見ながら、


「外しても大丈夫ですか?誰かに見られたらダメですよね……」


と不安になっていることを伝えた。


「これくらい大丈夫。みんな他人のことなんて気にしないと思うよ、今日は」


先生の言葉で今日はクリスマスであることを改めて実感した。


たしかに店内にいるお客さんの十中八九は恋人同士で、お互いに夢中で私たちのことなんてお構いなしだった。