博物館からの帰りの車の中で、さっき作ったとんぼ玉のストラップを早速携帯につける。
可愛らしくて満足していたら、先生が運転しながら
「これから少し街中を歩こうと思うんだけど、帽子とマスクつけられる?」
と尋ねてきた。
「はい、大丈夫です」
ササッとバッグからニット帽とマスクを取り出した私は、素早くそれを身に付けた。
「何度見ても笑えるなぁ」
と先生がルームミラー越しに私を見て笑う。
私も笑われることに慣れてきてしまった。
いつもの見慣れた街に戻ってきた私たちは、車を市内の有料駐車場に停めて、街中を歩いた。
クリスマスなだけあって信じられない人で賑わいごった返しており、恋人と思わしき男女はみんな手を繋いでいた。
芦屋先生は外を歩く時あまり手を繋がないタイプなのか、私に手を差し出してくる様子もない。
でも今はそれでちょうど良かった。
手なんて繋ごうものなら、私の心臓はもう持たないと思ったからだ。



