それから先生は高速道路などを使い1時間ほど車を走らせて、郊外にある博物館に到着した。


その博物館は、私が小さい時に両親に連れてきてもらったきり来ていなかった場所で、歴史的な資料や道具が展示してあるだけでなく、ガラス細工作りや陶芸の体験もできるところだった。


「懐かしい」


博物館の中に入って、辺りを見回す。


私が来た時とは少し内装が変わっていた。
改装したようで、とても綺麗な館内だった。


さすがに日曜日でクリスマスというだけあって、子供連れの家族が目立つ。


「ここならきっと学校の関係者は誰も来てないでしょ」


先生はそう言ってニッコリ笑うのだった。


「でも吉澤さんみたいな子をこういうところに連れてくるのも悪いなぁと思ったんだけど」


「え?どうしてですか?」


私が怪訝そうな顔をしたからか、先生は困ったように


「退屈するかなぁって」


と言った。


先生は先生なりに、私との年齢差を考えてくれているらしい。


私がファッションやらなんやらを気にしているのと違い、先生は私が楽しんでくれるか心配してくれていたので、自分の浅はかさに悲しくなりそうになった。


「私、こういうところ好きですよ。ガラス細工の教室、行ってみたいです」


「それなら良かった」


ニット帽とマスクはバッグにしまって、私と先生は博物館を回ることにした。