芦屋先生は目を細めて優しく笑った。


「吉澤さんのことが好きだ」


先生の言葉が、「好きだ」という言葉が、私の体に吸い込まれていくようだった。


これは、夢なんかじゃない。
現実だ。


「本当は君が卒業してから言うつもりだった。でも、もう今日は隠し切れないと思ったから」


芦屋先生の口が動く度に、私の目が瞬く。


「先生?」


私がようやく口を開いたので、先生は首をかしげた。


「先生は、私の気持ちに気づいてた?」


手が、震える。


さっき男の人に襲われた時よりもよっぽど震えているような気さえした。


先生がうなずくのが見える。


「……うん、気づいてた」


「芦屋先生」


私はすぐにでも先生に抱きつきたかった。


「好きです。……好きです!」


後半の方は半分ヤケクソだった。


先生が見せた顔は、今までのどの笑顔とも違う、私をとても愛しく思ってくれているのが分かるような、そんな甘い笑顔だった。