美術室に到着した時には始業のチャイムが鳴った少しあとだった。
室内に駆け込むと芦屋先生がすでに教壇に立っていて、私と菊ちゃんが遅れてきたことに気づくと
「空いてる席に座ってね」
と微笑んだ。
遅刻を注意されることもなく、私たちはそばの空いている席に座った。
生徒たちに授業の説明をしている先生の姿をぼんやり見つめる。
いつものくたびれたシャツに、くたびれたチノパン。
先生は学校でいつ見てもそんな感じの姿だ。
でも金曜日に先生の家に泊まった時は、たくさんの色んな姿を見れたなぁと思い出した。
きっとこのクラスだけじゃなく、この学校の生徒たちは知らない芦屋先生の家での様子。
なんて贅沢な時を過ごしたんだろうと思った。



