どうしよう。
もし今の話を真司に聞かれていたとしたら。
真司はどう思っただろう。
芦屋先生のことを誰かに言ってしまったりしないかな。
それだけじゃない。
真司の気持ちを傷つけたことにもなる気がした。
なんの表情も浮かべずに通り過ぎていった彼のことを案じてしまった。
「あ、萩!いたいた」
やがて菊ちゃんが私を見つけて駆け寄ってきた。
「どこに行ったのかと思ったよ。もう美術室に移動しないと間に合わないよ」
彼女の言葉で我に返った私は、教室の机に置いていた美術道具一式を取りに戻ると、待っていてくれた菊ちゃんと共に美術室へ向かった。



