しばらく経った頃、保健室のドアが開く音がした。
「あら」
というクニコ先生の声が聞こえた。
私が寝ているベッドからはカーテンが邪魔をして誰が来たのかは分からない。
誰か私と同じように具合でも悪くなった人がいるのかな。
そんなのんきなことを考えていたら、不意に男の人の声がした。
「吉澤さん、大丈夫?」
聞こえた瞬間、心臓が止まるかと思った。
この声は朝に聞いたから分かっている。
芦屋先生の声だ。
私はカーテンで仕切られているのをいいことに、急いでボサボサの髪の毛を整えて制服の乱れを直した。
「は、はい」
返事をしたつもりが、びっくりするくらい裏返ってしまった。



