「ずっと透と、どうなったかなって話してたの」
澪の言葉を聞きながら、徳山先生はどんな考えであの時芦屋先生に私を送るように言ったのかと思った。
「あの日ね、電車が台風で止まっちゃって……その……」
途中で口ごもる私の顔を、澪が近い位置でじっと見つめてくる。
「と、泊まらせてもらったの」
「誰が?」
澪は目を細めて耳をすませる仕草をした。
「私が」
「誰の家に?」
「芦屋先生の家に……」
そこまで答えたところで、澪は朝の菊ちゃんとまったく同じように目を丸くして声を上げた。
「泊まったの!?」
「もう、他に行くところなくて……。私が家に帰れないからどうしようもなくなって。でもなんにもないよ。ほんとに。ただ泊まっただけなの」
また菊ちゃんみたいに変な勘違いをされても困ると思って、私は先に説明する。
「へぇ〜。意外だな、芦屋先生」
やっと私に近づけていた顔を離した澪は、そんな感想を口にした。



