まだ少し湿っている制服を着た私は、先生に借りた服を丁寧に畳んでベッドの上に置いた。
そしてこれまた湿っているカバンを持つと、リビングで待っている先生に
「準備できました」
と言った。
ここに来た時と同じ制服で家に帰るのだ。
玄関にはびしょ濡れになったままの靴が2つ。
靴を履いた私に気づいた先生が、少し申し訳なさそうに私の足元を見下ろした。
「靴のこと忘れてたな。乾かしておくべきだったね」
「大丈夫。家でしっかり乾かしますから」
私の言葉にうなずいた先生は、
「じゃあ、行こう」
と私を促した。
玄関から出る時にチラッと廊下を振り返る。
もうきっと、二度と来ることは無い芦屋先生の家。
出るのがちょっと名残惜しかったけれど、仕方ない。
私と先生は家を出た。



