先生は昨日の夜も私の両親のことを気づかっていた。


そんなに気にしなくても大丈夫なのに。


私がそれを伝えようとすると、先に先生が口を開いた。


「吉澤さんみたいな子を育てたご両親だから、きっと娘のことは信頼してるだろうけどね」


「え?」


「褒めてるんだよ」


聞き返す私に先生はそう言って、いつものように優しく笑った。


「今どき珍しい真面目な子だよね」


私は即座にそんなことない、と言いたかった。


きっと先生は、私のことを買いかぶっているんだ。


本当の私を知ったら幻滅するに違いない。


そう思うと余計にちゃんとしなくちゃという気持ちになる。


私は本当は真面目なんかじゃない。