黙ったままの私に対して、先生は答えを急かすこともせずにただ静かに待っていた。


長い沈黙のあと、私は先生に


「先生は勘違いしてます」


と言った。


「勘違い?」


「私は他の人を優先になんてしてないんです。いつも自分本意なんです」


先生の少し戸惑った顔を見つめながら、私は自分のこのモヤモヤした気持ちを彼にぶつけた。


「先生と一緒にいたいって思ったから。だからここに来たんです。私、矛盾してるんです、なにもかも」


もはや告白じみた言葉を言ってしまった。


でもこの時の私は頭の中がぐちゃぐちゃになっていて、自分が何を言っているのかもよく分かっていなかった。


「何が正しくて何が間違ってるのか、もう分かんないよ」


どんどん出てくる言葉をそのまま言っているうちに、涙まで出てきてしまった。


目の前にいる芦屋先生の顔がぼやけて見えた。