「もし良かったらその画集貸すから、ゆっくり家で見てもいいよ」
「えっ、いいんですか?」
興味を持っていたところだったので、先生のその提案は私にはとてもありがたいものだった。
「ありがとうございます」
画集を手に、私と芦屋先生は部屋を出た。
リビングに戻ると、いよいよ台風が最接近しているらしく、つけっぱなしにしていたテレビから気象情報が次々に速報で流れてくる。
強い雨風の音がリビング中に響き渡っていた。
「すごい音」
と素直に言ってしまうほど、台風の威力が凄まじいことを実感した。
アパートが飛ばされるなんてことは無いだろうけど、あまりの轟音に少し恐れてしまう。



