食事を済ませ、食器を洗ったり片づけが終わった時に、
「さっき言ってた部屋に行ってみる?」
と芦屋先生に言われ、私は思わず笑顔で立ち上がった。
リビングを出て、廊下からもうひとつの部屋へ入る。
暗かった部屋に明かりが灯ると、私は自然に
「わぁ」
と感嘆の声を上げていた。
部屋自体はそんなに広くないけれど、中央に作業をおこなう机が置いてあって、スケッチブックが載っていた。
大きな本棚にびっしり埋め尽くされた本は美術関係のもの。
小さな美術室という感じだった。
「スケッチブック見てもいいですか?」
私が尋ねると、先生は苦笑いして
「いいんだけど、本当に大したものは描いてないよ」
と念を押した。
「いいんです。大丈夫」
という変な返事をした私は早速スケッチブックを開いてみた。



