芦屋先生が作ってくれたのは、きのこの和風パスタだった。
「冷蔵庫の残り物で悪いんだけど」
と先生は申し訳なく言っていたけれど、私からしてみれば残り物でこんな素敵な料理を作れる先生を尊敬した。
テーブルにパスタとお茶と、フォークを並べてから2人で
「いただきます」
と食べ始めた。
「美味しいです」
一口目を食べてすぐに感想を言ったからか、少し喉につかえて咳き込みそうになった。
それを見て先生がおかしそうに笑う。
「それなら良かった。吉澤さんって食べてる時が一番いい顔するね」
「先生、バカにしてませんか?」
「してないよ」
あぁ、そうか。
バカにしているというより、子供扱いされていると言った方が表現が正しいかもしれない。
そこで思い出した、先生に聞きたいことのひとつ。
「先生って何歳ですか?」
私の質問に芦屋先生がすぐさま返答してくれた。
「26歳だよ」
「そうなんだ……」
9歳も違うんだ。
分かってはいたけれど、芦屋先生と私は年の差が大きい。
恋愛対象になんてなるわけがない。
そう思ってしまった。



