芦屋先生の家に向かう車中で、私はお母さんにメールを送った。


『雨がひどくて電車が止まってしまったから、菊ちゃんの家に泊めてもらうことになったから』


という内容のメール。


すぐにお母さんから返信が来た。


『雨すごいもんね〜。菊ちゃんとご両親によろしく伝えてね』


お母さんの文面からは、私を疑う余地は微塵もなかった。


菊ちゃんの携帯に着信を残していたけれど、まだ折り返しの連絡も来ていない。


「吉澤さんのご両親も心配してるだろうね」


ふと芦屋先生が運転しながら言う。


「うちの親は放任主義だから、全然心配なんてしてないです」


「それならいいんだけど……」


私の返事に対して、先生は何かを言いたげだったけれど、それきり何も言っては来なかった。