しばらくして、朝の集会が始まった。
校長先生の長い話を聞いている間、私はチラチラと芦屋先生に視線を送る。
彼はキョロキョロ辺りを見たり何かをするでもなく、とても冷静な様子のまま過ごしていた。
長身の徳山先生とそんなに身長は変わらないかな。
少し芦屋先生が低いくらい?
徳山先生が大きく見えるのは、筋肉質な体をしているからもあるだろうか。
芦屋先生はどちらかと言うと細身だった。
スーツ姿よりも、夏休み中に見かけたちょっとくたびれた服を着ている方が彼に合っていると思った。
長くて退屈な校長先生の話が終わり、司会進行をつとめる教頭先生が芦屋先生に何か声をかけているのが見えた。
芦屋先生はゆっくりと壇上に上がる。
自分でもよく分からないけれど、心臓がドキドキして張り裂けそうだった。
先生、なんて言うんだろう?
みんな芦屋先生のこと、どう思うだろう?
先生は壇上から私の存在に気づくかな?
気づくわけないか、こんなに生徒がいるのに。



