こころ、ふわり



芦屋先生はタオルを探してくれていたらしく、白いフェイスタオルを私に渡してきた。


「気休めにしかならないかもしれないけど、少し拭いた方がいいよ」


「ありがとうございます」


受け取った私は、濡れた制服の上にタオルをかぶせて何回か拭いた。


芦屋先生が車を発進させて、駅の方へ向かう。


信号待ちの間、風に煽られて車が地震のように揺れたりしていた。


学校から駅までは普段なら車で10分くらいで着くはず。


道路はとても混んでいた。


「歩いてる人、ほとんどいないですね」


窓ガラスの外を見て、私はいつも通学する道に通行人がほとんどいないことに気がついた。


「さすがにこの雨じゃ、なかなか出歩けないよね」


芦屋先生も苦笑いしていた。


車のワイパーもフル稼働で、車内にはワイパーが作動する音が雨音に混じって聞こえる。