そんな私を横目に、澪が徳山先生に私のことをお願いしようとしていた。
「ね、透。萩のこと駅まで送ってよ。そのために一緒に残っててもらったの」
「そういうことか」
徳山先生は納得したように言ったあと、何かを考えるように手を口元に当てて黙り込んだ。
その謎の沈黙を差し置いて、この4人での空間が新鮮だなぁと私はのんきなことを考えていた。
澪と徳山先生は、自分たちの関係を私と芦屋先生が知っているからこそ、こんなに自然な姿を見せてくれている。
見た目は先生と生徒なのに、中身は恋人。
不思議で仕方ないのに、すごく素敵だった。
「芦屋先生」
徳山先生が不意に後ろの芦屋先生の方を振り返る。
芦屋先生は不思議そうに「はい」と返事を返した。
「ちょうどよかった。芦屋先生が吉澤さんを駅まで送ってあげてくださいよ」
「え!?」
予想外の徳山先生の言葉に、私も芦屋先生も同じように聞き返してしまった。



