大粒の雨が窓を打ちつける音が響く中、私は澪に聞いてみたいことを尋ねる。


「やっぱり学校内では徳山先生とはあまり話さないようにしてるの?」


「そりゃ、まぁね。なるべくは」


当の本人たちは当たり前のことかもしれないけれど、傍から見ると2人がすれ違うのを目撃しただけでもなんだかソワソワしてしまう。


「金曜日とか土曜日は透の家に泊まりに行ったりするの。別に学校で話せなくても、その時にたくさん話せるから気にしてないんだ」


サラリと言った澪の言葉が、大人っぽくてドキッとする。


学校で2人を見た時もキスしていたし、やっぱりそういうことは当たり前のようにしているのだ。


「ねぇ、今日このあと透の家に行くんだけど、雨すごいし萩も駅まで送ってもらうように言っとくからさ、一緒に帰ろうよ」


突然の澪の提案に、私は慌てふためいていた。


「い、いいよ!私、完全に邪魔者じゃん!それに誰かに見られたりしたら……」


「こんな天気の時に残業する先生いないでしょ。みんな帰るの待ってからだから、少し遅くなるけど、それでもいいなら。ね?」


確かにこんな大雨で風も強い日は、駅まで歩くだけでもびしょ濡れになるから送ってもらえるのは助かるけれど、本当にいいのだろうか。


迷いながらも、私は「じゃあお願いします」と言った。