「どうせ倉本くんに押されまくって、なんとなく断れなかったパターンでしょ?」


彼女が言っていることは合っているけれど、それ以外にも芦屋先生に距離を置かれているような感じがして落ち込んでいた自分のこととか、そういうことも説明したかった。


でもそんな口を挟むことは出来なそうだった。


「そこまで分かってくれてるなら、こんな事情聴取みたいなことしなくたっていいのに」


「ま、念のため」


こともなげに澪はそう言って、やや満足げに足を組んだ。


「で、結局、芦屋先生のことが好きって再確認して、今に至るって感じでしょ」


彼女の言うことはなんて的確なんだろう。


うなずくより先に感心してしまう。


「澪はいいなぁ……。好きな人と付き合えて。美人だしさ、頭の回転いいしさ、徳山先生と並んでると絵になるよ」


「なにそれ。喜んでいいのか分かんないんだけど」


「もう、褒めてるのに」


私が口をとがらせると、澪は楽しそうに笑っていた。