もう、戻れないかもしれない。


この瞬間そう思った。


私にはこの人しかいないんだ。


この人以外に好きになれないんだ。


先生と生徒なんて嫌なんだ。


触れたいし触れてほしいんだ。


私だけに見せる笑顔が欲しいんだ。


先生に好きになってほしいんだ。







想いが溢れそうで、私は急いでカバンにペンケースを詰め込むと美術室を出た。


足早に廊下を抜けて玄関まで来たところで、自分の胸の鼓動が苦しくて立ち止まった。


どうしようもない自分の感情がコントロール出来なくなりそうで、怖かった。


足が震えていた。








もう、戻れない。