完成した絵を、芦屋先生のそばに置く。


ペンケースから出した小さなメモに「ありがとうございました」と書いて、絵にくっつけた。


すー、すー、と規則正しい寝息を聞きながら、私は手を芦屋先生の頬に触れてみた。


すぐに手を引っ込める。


何をやっているのだろう、と自問自答するけれど、答えなんて分かっていた。


好きだから、触れたい。


初めて沸き上がる感情に突き動かされるように、私はゆっくりと、芦屋先生の顔に自分の顔を近づけた。


そっと頬にキスをする。


触れるか触れないかくらいの、そんなキスだった。