こころ、ふわり



しばらくその場で絵を描き続けているうちに、日が暮れてきて風もかなり寒くなってきた。


まだ全部描き終えていないのだけれど、くしゃみを連発する私を心配して芦屋先生が


「中に入ろうか。美術室行こう」


と言った。


美術室には美術部員たちがいるのかと思っていたけれど、みんなすでに帰宅したのかもう誰もいなかった。


がらんとした美術室で、私はせっせと残りの絵を描いた。


「ねぇ、芦屋先生」


ふと思い出したことがあって、絵を描く手を止めて芦屋先生に話しかける。


先生は針金のようなもので何かを作っている最中だった。


「どうかした?」


「先生、どうして最近ずっとメガネなの?しかもあんまり見えてなさそうですよね」


素朴な疑問だったので聞いてみただけだった。
メガネ姿はよく似合っていたけれど、いつも目を細めてよく見えていないような印象を受けた。


「結膜炎でコンタクトつけちゃダメって眼科の先生に言われて。それで久しぶりにメガネかけたら、かなり前に作ったやつだから度が合わなくなってたんだ」


芦屋先生はメガネを外して目を開けたりつぶったりを何回か繰り返した。


メガネを外す仕草に、なぜだかドキッとした。