職員室から出て、廊下を歩く。
芦屋先生と並んで歩いていることが、いまだに信じられない。
この事態に頭がついていかなかった。
私たちは校舎からグランドにいったん出て、そこから花壇のある場所へ移動した。
花壇の隣のモミジの木が、風に揺れていた。
先週もそうしたように、目の前の石段に腰を下ろす。
先生は私のすぐ隣ではなく、少し間を置いて座った。
「芦屋先生」
私はモミジの木を描きながら、先生に話しかけた。
「どうしてこの絵の続きを描いた方がいいと思ったんですか?」
芦屋先生はちょっと考えてから、
「吉澤さんがそうしたいと思ってるかなぁと感じたから」
と言った。
「もし違ってたら、俺の勘違い」
「…………違わないです」
「そう。良かった」
芦屋先生の言葉数は他の人より少ない。
でもそれが私には心地いいんだ。



